📍 はたらく階段|STEP 3
この記事は、札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンクが、A型事業所から就職までに身につけたいことをまとめたシリーズの1本です。順番や、いま自分がどの段にいるかはシリーズの目次と読み方をご覧ください。全部読まなくて大丈夫です。
先に3行だけ書いておきます。
- 家電に取扱説明書があるように、自分にも1枚あっていいです
- 書くのは4項目だけ。得意、苦手とできる形、調子が崩れるサイン、お願いしたい配慮
- 今日やることは、得意を1つ、苦手を1つ、書いてみるだけです
説明書がない機械は、正しく扱ってもらえません

新しい家電を買ったら、取扱説明書がついてきます。得意な使い方、やってはいけないこと、調子が悪いときのサイン、対処のしかた。
説明書があるから、正しく扱えます。説明書なしで手探りで使えば、性能は出ませんし、壊れやすくなります。
人も、同じです。
あなたには、得意な作業があります。力が出ない環境があります。調子が崩れる前のサインがあります。でも、それは外からは見えません。
周りが「扱い方」を知らないままだと、あなたの性能は出ません。あなたが悪いのではなく、情報が渡っていないだけです。
だから、作ります。自分の取扱説明書です。
作っておくと、3つの場面で効きます
| 場面 | 効き方 |
|---|---|
| 新しい職場・面接 | 「配慮してほしいことはありますか」と聞かれたとき、その場で考えずに答えられます |
| 新しい職員さん・支援者 | 担当が変わるたびに、ゼロから説明し直さなくて済みます |
| 自分自身 | 書き出す過程で、自分の調子のサインに自分で気づけるようになります |
とくに1つめは、就職活動で必ず来る場面です。特性との付き合い方で書いた「できないの後に、もう一言足す」を、前もって紙にしておくということです。
書くのは、4項目だけです
難しい様式は要りません。紙でもスマホのメモでも、この4項目があれば説明書になります。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| ① 得意なこと | 「同じ作業をコツコツ繰り返すのが得意」 「ひとりで集中する作業なら速い」 |
| ② 苦手なこと + できる形 | 「口頭の指示が3つ以上になると抜ける → 1つずつ、またはメッセージでもらえればできる」 |
| ③ 調子が崩れるサイン | 「返事が短くなる」「昼ごはんを抜くようになる」「朝、着替えに時間がかかる」 |
| ④ お願いしたい配慮 | 「騒がしい場所が苦手 → 端の席だと集中できます」 |
ポイントは2つです。
苦手は、「→ こうすればできる」まで書きます
「口頭指示が苦手」で止めると、読んだ相手はどうすればいいか分かりません。
「→ メッセージでもらえればできる」まで書くと、相手は今日から動けます。苦手の一覧ではなく、「できる形」の一覧にする。ここが取扱説明書の肝です。
形容詞ではなく、場面と数字で書きます
| 「集中力がない」 | → 「2時間を超えると、精度が落ちる」 |
| 「コミュニケーションが苦手」 | → 「電話は苦手。メッセージなら普通にやり取りできる」 |
| 「ストレスに弱い」 | → 「大きい声で注意されると、その日は手が止まる」 |
「やま」「かわ」「うみ」の記事で書いたとおり、形容詞は人によってずれます。場面と数字なら、誰が読んでも同じ意味になります。
素材は、もう持っています
「自分の得意も苦手も、よく分からない」という方も、大丈夫です。素材はすでにあります。
- 毎日の日報。「できなかった理由」の欄は、そのまま苦手の記録です。数字が伸びた日の欄は、得意の記録です
- 見つけた口ぐせや習慣。あれも自分のデータです
- 「ちょっとやりにくいな」と気づいた場所。苦手な環境のヒントです
このシリーズをここまで登ってきた方は、気づかないうちに素材を集め終わっています。あとは、4項目に並べ直すだけです。
ひとりで書かないでください

自分のことは、自分がいちばん見えません。とくに得意は、自分では「普通」に見えます。
だから、途中まで書けたら職員さんに見せてください。
「自分の取扱説明書を書いてるんですが、外から見て、足りないところありますか」
毎日あなたの仕事を見ている人からは、あなたに見えていない得意が見えています。「この人、検品の見落としが本当に少ない」のようなことは、外からしか分かりません。
そして、6割で見せて構いません。完成させてから見せる必要はないのは、ここでも同じです。取扱説明書は、完成させる文書ではなく、育てる文書です。
全部見せる必要は、ありません
ここは、はっきり書いておきます。
書くことと、見せることは別です。
誰に、どこまで見せるかは、あなたが決めます。職員さんには全部、実習先には②と④だけ、というふうに、相手によって出す範囲を変えて構いません。
就職のときに障害をどこまで開示するか(オープン就労・クローズ就労)は、大きなテーマなので STEP 4 で改めて書きます。いまは、手元に説明書があること自体が財産です。出す・出さないは、あとから選べます。
やり方は、3段です
| 段 | やること |
|---|---|
| 1 | 得意を1つ、苦手を1つ書いてみる(今日やること。4項目全部でなくていい) |
| 2 | 苦手に「→ こうすればできる」を足す |
| 3 | 職員さんに見せて、外から見えているものを足してもらう |
1段目だけで十分です。2行書けたら、説明書はもう始まっています。
そして、苦手を書くのがしんどい日は、やらないでください。得意だけ書く日があっても構いません。この説明書は、自分を責める道具ではありません。
いきなりできなくて大丈夫です
最初の1枚は、たぶんスカスカです。それでいいです。働きながら気づいたことを、1行ずつ足していきます。半年後には、あなたにしか書けない1枚になっています。
1か月くらい経ったら、1か月前の自分を思い出してみてください。
| 1か月前 | 「配慮してほしいこと」と聞かれたら、固まっていた |
| いま | 見せられる紙が、手元にある |
比べる相手は、周りではなく1か月前の自分です。ただし、調子が落ちている時期は比べないでください。必ず悪く見えます。
まとめ
- 説明書がないと、正しく扱ってもらえません。あなたが悪いのではなく、情報が渡っていないだけです
- 書くのは4項目。得意/苦手とできる形/調子が崩れるサイン/お願いしたい配慮
- 苦手は「→ こうすればできる」まで。形容詞ではなく、場面と数字で書きます
- ひとりで書かない。6割で職員さんに見せて、外から見える得意を足してもらいます
- 書くことと見せることは別。誰にどこまで出すかは、あなたが決めます
札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンクでは、取扱説明書づくりを職員と一緒に進められます。あなたの得意は、外からのほうがよく見えています。
最後に
今日は、紙かスマホのメモに、2行だけ書いてみてください。
得意:◯◯◯
苦手:◯◯◯ → こうすればできる
その2行が、あなたの取扱説明書の1ページ目です。
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札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク
































