📍 はたらく階段|STEP 2
この記事は、札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンクが、A型事業所から就職までに身につけたいことをまとめたシリーズの1本です。順番や、いま自分がどの段にいるかはシリーズの目次と読み方をご覧ください。全部読まなくて大丈夫です。
先に3行だけ書いておきます。
- 言葉は、思っているより伝わっていません
- そして「わかりましたか?」では、確認になりません
- 今日やることは、「◯◯という理解で合ってますか」と1回返すだけです
その前に、少しだけ実験をさせてください。
1分だけ、想像してみてください

これから1分で、「やま」と「かわ」と「うみ」を想像してください。
目を閉じて、頭の中に思い浮かべてみてください。
では、1分間、スタート。
・
・・・
・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・
どんな景色が浮かびましたか
雄大な富士山と、清流と、青い海でしょうか。
北海道の山並みと、石狩川と、日本海かもしれません。中には、森の中の小さな滝を思い浮かべた方もいると思います。
ちなみに、何も浮かばなかった方もいると思います。頭の中で映像が見えにくいという方は実際にいます。それも普通です。この実験がうまくいかなくても、何の問題もありません。
でも。
実はこちらが想像していたのは、これでした。
「山」「川」「海」
という、漢字3文字
風景ですらありませんでした。
ずるいと思われたかもしれません。でも、これが言葉というものです。たった3つの言葉でも、これだけずれます。
これは、毎日起きています
同じことが、仕事の中でも起きています。
| 言われたこと | ずれるところ |
|---|---|
| 「あれ、やっておいて」 | 「あれ」がどれか |
| 「きれいに梱包して」 | どこまでが「きれい」か |
| 「早めに出して」 | 「早め」がいつか |
| 「いい感じにしといて」 | ほぼ全部 |
そして、どちらが悪いという話でもありません。
言う側は、自分の頭の中が見えているので、それで伝わると思っています。聞く側は、自分の頭に浮かんだものが正しいと思っています。両方とも、ずれていることに気づいていません。
さっきの実験と、まったく同じです。言葉は、そもそも足りないものです。
「言った」「伝わった」「理解した」は、別のものです
ここを分けておくと、話が早くなります。
| 何が起きているか | |
|---|---|
| 言った | 自分の口から出た。まだ自分の側だけの話 |
| 伝わった | 相手の耳に届いた。言葉としては受け取られた |
| 理解した | 相手の頭の中に、こちらと同じものが浮かんでいる |
この3つは、まったく別のものです。
「言ったのに」という言葉が出るときは、たいてい「言った」で止まっています。「やま」と言った時点では、まだ何も伝わっていません。
そして厄介なのは、3つとも「言いました」「聞きました」で片づいてしまうことです。言った側は言った時点で終わったつもりになり、聞いた側は聞いた時点で分かったつもりになります。
だから、最後の「理解した」まで来ているかどうかを、確かめる必要があります。これは、言う側にも、聞く側にも必要なことです。
だから「わかりましたか?」は、効きません
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
「わかりましたか?」と聞かれたら、たいてい「はい」と答えます。気を遣っているからではありません。
本当に、分かったつもりになっているからです。
さっき「やま」と言われて富士山を思い浮かべた方は、その時点では自信があったはずです。まさか漢字だとは思っていません。ずれているときほど、ずれに気づけません。
だから、「わかりましたか」「はい」のやり取りは、確認になっていません。お互いに安心して、そのまま進んで、あとで「思っていたのと違う」になります。
やることは、1つだけです。言葉にして、1回返す。それだけで、ずれが見えます。
受け取る側の、確認のしかた

指示を受けたら、これを1回返します。
「◯◯という理解で合ってますか」
ポイントは、自分の言葉に置き換えることです。言われた言葉をそのまま繰り返しても、ずれは見えません。
| 言われたこと | 返す言葉 |
|---|---|
| 「きれいに梱包して」 | 「中で動かないように詰める、という理解で合ってますか」 |
| 「早めに出して」 | 「今週の木曜までに、という理解で合ってますか」 |
| 「あれ、やっておいて」 | 「昨日の出品リストのこと、で合ってますか」 |
ずれていれば、その場で直せます。ずれたまま半日やってしまうより、10秒で済みます。
そして、これは毎回考えるものではありません。指示を受けたら1回返す、と習慣にしてしまうのがいちばんラクです。考えなくても口から出るようになれば、それで終わりです。
そして、これは「わかりません」と言える人が伸びるの、次の段です。「分からない」と言うのが1段目、「こう理解しました」と返すのが2段目になります。
口で言いにくければ、メッセージで構いません。Slack や Chatwork に1行送っておけば足ります。
渡す側の、確認のしかた
逆の立場になったときの話も書いておきます。後輩ができたときや、就職してからに効きます。
「わかった?」と聞かないでください。「はい」しか返ってきません。
「どうやるか、一回言ってもらえますか」
やり方を言ってもらうと、そこでずれが見えます。「はい/いいえ」ではなく、中身が出てくるからです。
これは、相手を試しているわけではありません。言い方を1つ足すだけで、あとで両方が困らずに済みます。
言葉を足すときのコツ
ずれやすいのは、形容詞です。「きれいに」「早めに」「しっかり」「ちゃんと」。
これを、数字か動作に変えます。
| ずれる言葉 | ずれにくい言葉 |
|---|---|
| 「きれいに」 | 「箱の中で動かないように」(動作) |
| 「早めに」 | 「木曜まで」(数字) |
| 「たくさん」 | 「10件」(数字) |
| 「ちゃんと確認して」 | 「型番と数を見て」(動作) |
数字か動作になっていれば、人によってずれません。「10件」を5件だと思う人はいません。
自分が指示を受けたときも、この形に置き換えて返すと、そこで確認が済みます。
AIに指示するときも、まったく同じです
これは、これから先どんどん関係してくる話なので、書いておきます。
AIも、少ない言葉で指示すると、勝手に解釈して動き出します。「やま」と言われて富士山を思い浮かべるのと同じです。
そして、出てきたものを見て「思っていたのと違う」となる。これはAIのせいではなく、伝え方の問題です。
しかも、AIは「わかりましたか?」と聞かなくても、必ず「わかりました」の顔で動きます。人間より、ずれに気づきにくい相手です。
やることは、人相手と同じです。形容詞を、数字か動作に変える。この話は STEP 3 の「AIは道具。指示するのは、あなた」で詳しく書きます。
やり方は、3段です
| 段 | やること |
|---|---|
| 1 | 指示を受けたら「◯◯という理解で合ってますか」と1回返す(今日やること) |
| 2 | 形容詞を数字か動作に置き換えて返す |
| 3 | 渡す側になったら「どうやるか一回言ってもらえますか」と聞く |
1段目だけで十分です。1回返せたら、その日は終わりです。
そして、返せない日があっても大丈夫です。言い出すタイミングが取れない日はあります。
いきなりできなくて大丈夫です
確認を返すのは、最初は「疑っていると思われないかな」と気になると思います。
そこは大丈夫です。確認を返す人は、しっかりしている人だと思われます。あとで作り直すほうが、よほど手間をかけます。
やることは1つだけです。少しずつ、意識づけていく。10回に1回返せたら十分です。
1か月くらい経ったら、1か月前の自分を思い出してみてください。
| 1か月前 | 「はい」と言って、あとで作り直していた |
| いま | 「◯◯で合ってますか」と、先に確かめている |
比べる相手は、周りではなく1か月前の自分です。ただし、調子が落ちている時期は比べないでください。必ず悪く見えます。
まとめ
- 「やま」「かわ」「うみ」でも、これだけずれます。言葉は、そもそも足りないものです
- どちらが悪いという話ではありません。両方とも、ずれに気づいていないだけです
- 「わかりましたか?」は確認になりません。ずれているときほど、ずれに気づけないからです
- 受け取る側は「◯◯という理解で合ってますか」、渡す側は「どうやるか一回言ってもらえますか」
- 形容詞は数字か動作に変える。「きれいに」→「箱の中で動かないように」
札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンクでは、確認を返してもらったほうが助かります。何度聞き返してもらっても構いません。
最後に
今日は、指示を1つ受けたら、これを1回返してみてください。
「◯◯という理解で合ってますか」
合っていれば、そのまま進めます。ずれていれば、そこで1つ、作り直しが消えます。
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札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク































