📍 はたらく階段|STEP 1
この記事は、札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンクが、A型事業所から就職までに身につけたいことをまとめたシリーズの1本です。順番や、いま自分がどの段にいるかはシリーズの目次と読み方をご覧ください。全部読まなくて大丈夫です。
これが STEP 1 の最後の記事です。ここまでの10本を、1つにまとめる話をします。
先に3行だけ書いておきます。
- 言葉づかい、考え方、ちょっとした行動、対応の仕方。こういう習慣は、積み重なると効いてきます。良いほうにも、悪いほうにも。
- 変えるのは性格ではなく、決まった場面での反応だけです。1つでいいです。
- 今日やることは、変えたい習慣を1つ思い出すだけです。直さなくていいです。
ここまでの10本は、全部同じ形をしていました

STEP 1 では、こういう話をしてきました。
並べてみると、全部同じ形をしています。
身についてしまった反応を、1つだけ別のものに置き換える。
この記事は、そのやり方そのものの話です。ここが分かると、STEP 1 の10本は全部つながります。そして、これから先も同じ手で進めます。
先に ── 習慣は、障害の原因ではありません
ここは間違えないでほしいので、最初に書きます。
うつや不安、発達の特性は、習慣が原因で起きるものではありません。言葉づかいを直せば治る、という話ではまったくありません。そこは主治医に聞く話です。
この記事で扱うのは、そのあとに起きることだけです。
- 「できない」で止めてしまうと、そこから先を考えにくくなります
- 強い言い方をすると、人が離れて、頼みにくくなります
- 困っているのに言わないままだと、問題が解決しないまま残ります
- 分からないまま進めると、やり直しが増えて、そのぶん疲れます
どれも、そのあとに起きることの話です。障害が重いか軽いかの話ではありません。
ただ、そのあとに起きることが変われば、1日の中のしんどさは変わります。この記事で扱うのは、そこだけです。
変えるのは、性格ではありません
「習慣を変えよう」と聞くと、性格を作り直す話に聞こえます。前向きになる、明るくなる、強くなる。そういう話ではありません。
性格は変わりません。変えなくて大丈夫です。
変えるのは、決まった場面での、決まった反応だけです。
ここが大事なところで、場面が決まっているから置き換えられます。「明るい人になる」は場面がないので手が出せませんが、「言われたときに、こう返す」なら1回で試せます。
習慣には、3種類あります
「習慣」というと生活のこと(早く寝る、運動する)を思い浮かべますが、ここで言う習慣はもっと細かいものです。その場での反応の型です。
大きく3種類あります。
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 言葉の習慣 | 「無理」「どうせ」が先に出る/強い言い方になる/とりあえず謝る |
| 考え方の習慣 | できない理由を先に探して止まる/言われる前にあきらめる/頼む前に「迷惑だろう」で引く |
| 行動・対応の習慣 | 分からないまま進める/黙って休む/全部引き受ける/挨拶せず席につく/ミスを言わない |
3つめが、いちばん結果に出ます。行動は、周りに見えるからです。
そして、どこから始めても構いません。いちばん心当たりがあるものを1つ選んでください。
それは習慣ではなく、症状かもしれません
ここは大事なので、表のすぐ隣に置いておきます。分け方は1つです。勝手に来るかどうか。
- 場面が決まっていて、あとから「あ、やった」と分かる → 習慣。この記事の話です
- 場面に関係なく勝手に来て、止められない → 症状。主治医に持っていってください
「最悪の結果が頭から離れない」「理由なく落ちる」「人と比べる考えが止まらない」あたりは、たいてい後ろです。置き換えようとしても効きません。
効かないのは、やり方が足りないからではありません。そもそも別のものだからです。
そして、次の診察を待たなくて大丈夫です。続いているなら、早めに伝えてください。
置き換えの例
実際にはこういう形になります。
| いまの反応 | 置き換えてみる |
|---|---|
| 「◯◯ができない」と思う | 「どうすればできるようになるか」と考えてみる |
| つい攻撃的な言い方をしてしまう | トーンを少し抑えてみる |
| 内気で、職員さんに話しかけられず困っている | メッセージで伝えてみる |
| 分からないまま、そのまま進めてしまう | そこで手を止めて、聞いてみる |
| 頼まれたものを、全部引き受けてしまう | 「今日は難しそうです」と言ってみる |
| 黙って休んでしまう | 1行だけ連絡を送ってみる |
全部、やめる話ではなく、別のものに置き換える話です。「思わないようにする」「やらないようにする」は無理なので、そうしていません。
「できない」→「どうすればできるか」
これは、口に出さなくてもいいです。頭の中で1回、続きを考えるだけで足ります。
「できない」で文が終わると、そこで止まります。そのあとに続きがあると、進みます。答えが出なくても構いません。考えたところまでで十分です。
そして、考えても、できるようにならないことはあります。気合いの話ではないので、そこは普通に起きます。
そのときは、問いが変わります。「どうすればできるか」ではなく、「どういう形ならできるか」です。手順を分ける、道具を変える、担当を変える。形が変われば通ることは、実際にあります。
そこは、ひとりで考えなくていいです。「これが苦手なんですが、どうしたらいいですか」と職員さんに丸投げして構いません。特性との付き合い方の記事にも、同じことを書いています。
攻撃的な言い方 → トーンを抑える
言いたいことを変えなくていいです。変えるのは、強さだけです。
| 「それは違います」 | →「そこ、ちょっと違う気がします」 |
| 「なんでこうなってるんですか」 | →「ここ、どうなっているか教えてもらえますか」 |
| 「無理です」 | →「今日は難しそうです」 |
中身は同じです。言っていることを引っ込めていません。角だけ落としています。
強い言い方が出てしまうのは、たいていそうしないと通らなかった経験があるからだと思います。ちゃんと言わないと聞いてもらえなかった、という場所にいれば、誰でも強くなります。
ここでも通らなかったときは、そのまま持ってきてください。「言ったのに通りませんでした」で構いません。下げたぶんを、あなたが自分で背負う必要はありません。
話しかけられない → メッセージで伝える
これがいちばん効きます。やることは、手段を変えるだけです。
目標を「話せるようになる」に置かないでください。それは遠すぎます。目標は「伝わること」です。伝わるなら、口でもメッセージでも同じです。
ネクサスリンクでは、Slack、Chatwork、Discord などのメッセージツールを使っています。そこに送れば、それで伝わります。近くにいるのにメッセージで送っても、まったく問題ありません。
困っているのに黙っている状態が、いちばん長引きます。手段を変えるだけで、そこが抜けます。
置き換えても、返ってこないことがあります
ここを書かないと嘘になるので、書いておきます。
「今日は難しそうです」と言って、「いや、やってください」と返ってくることはあります。メッセージを送って、返事が来ないこともあります。いちばん怖いのは、たぶんそこだと思います。
そのときにやることは、自分の言い方を疑うことではありません。
| 起きたこと | 次にやること |
|---|---|
| 返事が来ない | もう一度送る。催促ではありません。見落ちていることが普通にあります |
| 「やってください」と返された | 「どこまでならできそうか」に話を移す。全部か0か、ではありません |
| 何度やっても通らない | サービス管理責任者か生活支援員に持っていく。それは話し合いが必要なことです |
置き換えが効かないときは、やり方を変えるか、相手を変えるかです。自分を削る方向には行かないでください。
なぜ、1つ変えると上向くのか

理由は単純です。返ってくるものが変わるからです。
トーンを落として言うと、相手の返し方が変わります。メッセージで伝えると、その日のうちに話が動きます。分からないところで止まって聞くと、やり直しが減ります。
そして、返ってくるものが良くなると、次もやりやすくなります。だから続きます。続くと、また返ってくるものが良くなります。
逆も、同じ形です。強く言う。人が離れる。もっと言わないと通らなくなる。もっと強く言う。こちらも積み上がっていきます。
ここで1つ、はっきり書いておきます。いま悪いほうに回っている人が、自分のせいでそうなったわけではありません。そうなる場所にいれば、誰でもそうなります。責める話ではありません。入口が1つで足りる、という話です。
それと、体調が落ちると全部リセットされたように見えます。実際、行動は止まります。ただ、気づいたことは消えません。戻ってきたときに、同じところから始められます。
まず、変えたい習慣を1つ見つける
今日やることは、これだけです。直さなくていいです。見つけるだけ。
自分の習慣は、自分では気づきにくいです。だから、探し方を書いておきます。
- よく言う言葉を思い出す。「無理」「どうせ」「すみません」「たぶん」あたりが多いです
- いつも同じところで詰まる場面を思い出す。「困ったときに黙る」「言われたら全部引き受ける」など、繰り返している行動があります
そして、ここが大事です。1つ出たら、そこで終わりにしてください。探し続けると反省会になります。出てこなければ、今日はやらなくて大丈夫です。
職員さんに聞いてみるのも手です。ただ「私の悪いところは何ですか」は聞きにくいので、こう言えば足ります。
「最近、こういう場面でよく詰まるんですが、外から見てどう見えますか」
評価をもらう形にしないほうが、返ってくる答えも具体的になります。
見つかったら、置き換える形を1つだけ決めておいてください。「無理です」→「今日は難しそうです」、「黙って進める」→「そこで手を止めて聞く」のように、セットで用意します。
その場で考えると出てきません。先に決めておくと、出てきます。
やってしまってから気づく、で十分です
習慣は、決めたその日から止まりません。何十年か使ってきたものなので、当たり前です。
だから、順番はこうなります。
- やってしまってから、「あ、またやった」と気づく
- やりながら、気づく
- やる前に気づいて、置き換えられる
1番でもう半分終わっています。気づいていない状態から、気づく状態に変わったからです。ここが、いちばん大きい変化です。
やり直さなくていいです。「あ、またやった」で終わりにしてください。そこで自分を責めると、習慣を探すのが嫌になります。
何回か続けると、3番に届きます。時間はかかります。数か月かかっても、それが普通です。そして、届かないこともあります。そのときは、置き換える形が合っていないだけなので、別の形を職員さんと探せば足ります。
やり方は、4段です
| 段 | やること |
|---|---|
| 1 | 変えたい習慣を1つ見つける(今日やること。直さなくていい) |
| 2 | 置き換える形を1つだけ決めておく |
| 3 | やってしまってから「あ、またやった」と気づく |
| 4 | やる前に気づいて、置き換える |
1段目で止まっていても構いません。気づいているだけで、選べる状態になっています。
1つも思い出せない日は、何もしなくて大丈夫です。忘れたわけではありません。気づいたことは、そのままそこにあります。
そして、2つめに手を出すのは、1つめが落ち着いてからです。同時に3つ変えようとすると、全部戻ります。
ここから、STEP 2 に入ります
これで STEP 1 は終わりです。STEP 1 の11本は、通い続けるための土台でした。
STEP 2 からは、仕事の中の習慣になります。メモを取る、分からないと言う、報連相をする、決めた量をこなす。
「決めた量」と書きましたが、量は職員さんと決めます。ひとりで背負う話ではありません。中身は変わりますが、やり方は同じです。
1つ見つけて、1つ置き換える。それだけを繰り返します。
そして、ここが大事なところです。下の段に戻るのは後退ではありません。体調が落ちた時期は、STEP 1 に戻ってきてください。習慣の話は、そのときにまた読めば足ります。
まとめ
- 習慣には言葉・考え方・行動と対応の仕方があります。どこから始めても同じです
- 習慣は障害の原因ではありません。変わるのは、そのあとに起きることだけです
- 勝手に来て止められないものは、症状です。置き換えでは効きません。主治医に持っていってください
- やめるのではなく、置き換える。「無理です」→「今日は難しそうです」
- 置き換えても返ってこないことはあります。そのときは、やり方か相手を変えます。自分を削らないでください
札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンクでは、話しかけるのがしんどい方は、メッセージツールで伝えてもらって構いません。伝わる形は、ひとつではありません。
最後に
今日は、変えたい習慣を1つ思い出すだけにしてください。言葉でも、考え方でも、いつもやってしまう行動でも構いません。
1つ出たら、そこで終わりです。直さなくていいです。
気づいた時点で、もう選べる状態になっています。
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