📍 はたらく階段|STEP 1
この記事は、札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンクが、A型事業所から就職までに身につけたいことをまとめたシリーズの1本です。順番や、いま自分がどの段にいるかはシリーズの目次と読み方をご覧ください。全部読まなくて大丈夫です。
先に、この記事のやり方を書いておきます。
- 挨拶にも段があります。いきなり「目を見て、はっきり」は目指しません。
- 今日はいちばん下の段から。まずは、朝いちばんに目が合った1人に会釈ひとつ。
- そこから少しずつ上げていきます。慣れたら1段。それを繰り返すだけです。
ここまで読んで閉じてもらっても構いません。この先は、できるようになると何がよくなるのかと、段の上げ方の話です。
挨拶ができるようになると、こうなります

挨拶は、感じよくするためのものではありません。あなたの1日を、少し楽にするためのものです。
その日の「1回目の会話」が、軽くなります
これがいちばん大きいと思っています。
その日まだ一度も言葉を交わしていない相手に、いきなり質問するのは、誰にとってもきついです。「この人、今日どんな感じだろう」から始めないといけないからです。
朝に合図を1回出しておくと、そこが省けます。2回目からは、ただの続きになります。聞きたいことが聞ける日が増えるのは、朝の2秒のおかげです。
話しかけてもらえるようになります
「この人は反応がある」と分かると、周りは安心して声をかけられます。逆に、反応が読めない相手には、みんな遠慮します。
そして、新しい仕事や、覚えたい作業の話は、たいてい声かけの延長で来ます。会議で決まって降りてくるわけではありません。「これ、やってみる?」は、話しかけやすい人のところに行きます。
誤解されずに済みます
挨拶ができない理由は、たいていこのどれかです。人と目が合った瞬間に固まる。声が出ない。タイミングが分からない。気づかれていなかったら恥ずかしい。
どれも「感じを悪くしてやろう」ではありません。ところが外からは見えないので、「嫌われてるのかな」と受け取られてしまうことがあります。会釈ひとつで、その誤解は起きません。
挨拶には、段があります
「挨拶をしよう」と言われて詰まるのは、いきなり完成形を要求されるからだと思います。目を見て、笑顔で、はっきりと。あれは最上段の話です。
挨拶は、下から順に上げていけます。
| 段 | やること |
|---|---|
| 1 | 体の向きを、少しその人のほうに向ける |
| 2 | 顔を上げて、そちらを向く |
| 3 | 会釈をする(頭を1回、軽く下げる) |
| 4 | 声は出さなくていいので、口を動かす |
| 5 | 小さい声で「おはようございます」 |
| 6 | 相手に届く声で言う |
| 7 | 言いながら、顔のほうを見る(鼻のあたりで十分です) |
今日は、いまできる段からで構いません。1段目でも、それは挨拶です。何もしないのとは、まったく違います。
段の上げ方
上げるタイミングは、はっきり決まっています。
いまの段が、考えなくてもできるようになったら。
目安は3日です。3日続けて、身構えずにできたなら、そこはもう身についています。次の段に行ってください。逆に、まだ毎回ドキドキするなら、上げるのは早いです。同じ段のままで構いません。
それから、下げてもいいです。しんどい日は1段下げてください。昨日「おはようございます」が言えたのに、今日は会釈しかできない。それでいいです。ゼロにしないことだけ、覚えておいてもらえれば十分です。
1段ずつでいいので、半年あれば、かなり上のほうまで行きます。急ぐ必要はありません。
人数も、あとから増やせます
朝、入り口で全員に挨拶して回る必要はありません。まずは、最初に目が合った1人だけ。それが当たり前になってきたら、近くに来た人にも。人数を増やすのは、そのあとです。
タイミングを逃したときは、その場は諦めて大丈夫です。追いかけて言い直さなくていいですし、気まずさを引きずらなくて大丈夫です。次に顔を合わせたときに1回できれば、それで戻ります。
空振りしたあとの、10秒の過ごし方

段を上げていくうえで、いちばん邪魔になるのがこれです。
勇気を出したのに、返ってこなかった。
あれは、けっこう効きます。とくに下の段(会釈や口だけ)は気づかれにくいので、空振りは普通に起きます。だから、そのあとどうするかを先に決めておきます。
そのまま歩く。立ち止まらない。やり直さない。振り返らない。
3歩進めば終わります。周りから見ても、何も起きていません。空振りが目立つのは、自分の中だけです。
そもそも、返ってこないのは気づいていないことがほとんどです。考えごとをしていた。急いでいた。自分に向けられたものだと思わなかった。
そして、ここが大事なところです。挨拶は、投げた時点で1回にカウントされます。返ってくるかどうかは、相手の側の話です。空振りした日も、あなたの3日には入ります。
もう「感じが悪い」と思われている気がする方へ
何か月も挨拶できていない。もう手遅れなのではないか。いまさら急にやったら、かえって不自然ではないか。
そう思っている方に、ひとつだけ書いておきます。
印象は、積み上げではなく上書きです。
人は、他人の過去を採点していません。半年前にあなたが挨拶しなかったことを、細かく覚えている人はまずいません。覚えているのは、いちばん最近どうだったかだけです。
だから、明日1段目ができたら、それが最新の情報になります。これまでのことは、聞かれません。
ただし、正直に書いておきます。最初の1回は、相手の反応が薄いかもしれません。驚くからです。それは拒絶ではありません。2回目、3回目で普通になります。そこまでは、返ってこない前提でいてください。
そして、説明はしなくて大丈夫です。「今まですみませんでした」も要りません。何事もなかったように始めて構いません。そのほうが、お互い楽です。
返事にも、段があります
もうひとつが、返事です。こちらのほうが、じつは仕事に直結します。
名前を呼ばれたとき、指示を受けたときに何も返さないと、相手は「聞こえたのかな」と迷います。すると、もう一度同じ説明をしに来ます。同じ話を二度聞かされるのは、あなたのほうがしんどいはずです。
返事も、下から順で構いません。
| 段 | やること |
|---|---|
| 1 | 相手のほうを向く |
| 2 | うなずく(頭を1回下げる) |
| 3 | 小さい声で「はい」 |
| 4 | 相手に届く声で「はい」 |
| 5 | 「はい」+ 分からなければ聞き返す |
5段目まで来ると、仕事はかなり楽になります。
「はい」と「わかりました」は、分けて使ってください
ここは、覚えておくと本当に楽になります。
- 「はい」=聞こえました
- 「わかりました」=理解しました。この後ひとりでやれます
この2つは、まったく別物です。
よくあるのが、理解できていないのに「わかりました」と言ってしまうケースです。その場は乗り切れますが、あとで手が止まります。そして、聞き直しにくくなります。
理解できていないときは、「はい」で止めておいてください。それだけで、嘘をつかずに済みます。そのうえで、こう続けられたら5段目です。
はい。もう一度お願いできますか。
その場で聞き返せなかったら、あとからでも大丈夫です。「さっきの件なんですが」で始めれば足ります。
それでも、動かない日があります
口が動かない。頭が真っ白になる。人がいると認識した瞬間に固まる。そういう日は、あります。
そういう日は、段を下げてください。声が出ないなら会釈に。会釈も無理なら、体の向きだけ。1段目まで下がっても、それは0ではありません。翌日また上げれば済む話です。
そして、できなかった日を採点しないでください。0点をつけて帰る日を続けても、明日の1回は出しやすくなりません。
それから、声が出ない状態が仕事以外の場面でも続いているなら、それは性格や努力の話ではないかもしれません。社交不安や場面緘黙のように、治療や配慮の対象になるものもあります。次の診察のときで構わないので、主治医の先生にも話してみてください。
ネクサスリンクでは、ヘッドホンをつけて集中して作業している方もいます。人と話す量が少ない仕事もあるので、どのくらい話す環境がいいかは、相談してもらって構いません。
人と話すこと自体がつらい方は、人と話さない仕事はあるのほうも読んでみてください。
たかが挨拶、ではあるのですが
正直に言えば、挨拶ひとつで人生が変わるとは思っていません。
ただ、うまくいっていないとき、たいてい悪い流れのほうが続いています。
挨拶ができない → 話しかけられない → 分からないことを聞けない → ミスが増える → ますます話しかけづらくなる。この輪は、放っておいても止まりません。どこかで自分から断ち切る必要があります。
そして、断ち切る場所はいちばん小さいところがいいです。大きいところから変えようとすると、たいてい失敗して、流れがもっと悪くなるからです。
その点、挨拶はちょうどいいです。2秒で終わる。相手の返事も要らない。失敗しても誰も困らない。これほど安全に断ち切れる場所は、ほかにあまりありません。
良い流れは、こういうところから1つずつ作っていくものだと思っています。
挨拶ができるようになったら、次は返事。返事ができたら、メモを取る。メモが取れたら、報告する。ひとつ変わると、次のひとつが少し楽になります。逆に、まとめて全部変えようとすると、ひとつも変わりません。
このシリーズが45本もあるのは、そういうことです。人は、1つずつしか変えられません。だから1本につき、変えることは1つだけにしてあります。
今日の1つが、たまたま挨拶だっただけです。
まとめ
- 挨拶には段があります。今日は、いまできる段から
- 上げるのは、いまの段が考えなくてもできるようになってから。目安は3日
- しんどい日は1段下げる。ゼロにしないことだけ守れば十分です
- 空振りしたらそのまま歩く。それでも1回にカウントされます
ネクサスリンクは、札幌市東区・地下鉄東豊線「東区役所前駅」ほぼ直結の就労継続支援A型事業所です。人と話す量が少ない仕事もあります。どのくらい話す環境がいいかは相談できます。
最後に
明日、最初に目が合った1人に、いまできる段をひとつ。
体の向きでも、会釈でも構いません。3日続いたら、次の段です。そうやって、少しずつ増やしていきましょう。
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札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク
































