「事業所が閉鎖することになりました」
そう告げられた日から、頭の中が真っ白になっている方へ。
来月から給料はどうなるのか。受給者証は取り上げられるのか。いつまでに次を決めなければいけないのか。誰に聞けばいいのか。——このページは、その順番を整理するために書きました。
先に、いちばん大事なことを3つ書きます。
- 受給者証は、事業所が閉鎖しても失効しません。有効期限までは、そのまま生きています
- 「いつまでに次を決めなさい」という期限は、利用者側にはありません。期限が決まっているのは事業所のほうです
- 次の事業所を探すのは、閉鎖する事業所の法律上の義務です。「自分で探してください」で終わらせてはいけません
ひとつずつ、根拠となる条文と一緒に説明します。そのあとで、札幌で明日から動く順番と、電話をかける先をまとめます。
A型事業所が閉鎖しても受給者証は失効しません
まず、いちばん心配されるところから。
障害福祉サービス受給者証(支給決定)が取り消されるのは、法律で決まった4つの場合だけです。障害者総合支援法 第25条第1項に、次のように書かれています。
- サービスを受ける必要がなくなったと市町村が認めたとき
- 有効期間内に、その市町村以外の区域に住むようになったと認められたとき
- 正当な理由なく、市町村の調査に応じないとき
- その他、政令で定めるとき
「通っていた事業所が閉鎖した」は、この4つのどれにも入っていません。受給者証の表面に書かれた有効期限までは、そのまま使えます。事業所が閉まったからといって、市役所や区役所から取り上げられることはありません。
返還を求められるのは、上の4つのどれかに当たって支給決定そのものが取り消されたときだけです(同法 第25条第2項)。逆に言えば、取り消されない限り、受給者証はあなたの手元にあり続けます。
だからこそ、受給者証は必ず自分で持っておいてください。次の事業所と契約するときに、事業所名と契約日を記入する欄があります。閉鎖のばたばたで事業所に預けたままにしないよう、気をつけてください。
ひとつだけ注意点があります。1番目に「サービスを受ける必要がなくなったと認めたとき」という規定がある以上、何も連絡しないまま長く空白が続くのは避けたほうが安全です。次がすぐ決まらなくても、区役所と相談支援専門員には「いま探している最中です」と伝えておいてください。それだけで十分です。
「いつまでに決めろ」という期限は、利用者側にはありません
次に多い不安が「何日以内に決めないといけないのか」です。
結論から言うと、利用者が次の事業所を決める期限を定めた法律はありません。1週間で決めても、3か月かかっても、制度上のペナルティはありません。
期限が決まっているのは、事業所のほうです。事業を廃止・休止しようとするときは、その日の1か月前までに届け出なければならない、と定められています(同法 第46条第2項)。札幌市内の事業所であれば、届出先は北海道ではなく札幌市です。指定や届出を扱う権限が、政令指定都市である札幌市に移されているためです。
「1か月前に急に言われた」と感じるのは、この仕組みのためです。あなたの決断が遅いのではなく、制度上そういう順番になっているだけです。
とはいえ、収入は止まります。焦る必要はありませんが、止まっている必要もありません。落ち着いて、順番に動く。そのための手順を、このあと具体的に書きます。
次の事業所を探すのは、閉鎖する事業所の義務です
ここが、いちばん知られていないところです。
障害者総合支援法 第43条第4項は、事業を廃止・休止する事業者に対して、こう義務づけています。廃止の届出をしたときは、続けてサービスを受けたいと希望する利用者に対して、必要な障害福祉サービスが途切れずに受けられるよう、ほかの事業者との連絡調整その他の便宜の提供を行わなければならない、と。
「できれば協力してください」ではありません。「行わなければならない」と書かれた義務です。
厚生労働省も、この点を都道府県や指定都市に対して繰り返し周知しています。継続してサービスを使いたい人への便宜提供が事業者の責務であること、廃止届を受理するときの留意点、廃止日以降もサービスを希望する利用者の取扱いについて、令和6年4月に改めて周知。さらに同年10月には、利用者へのサービス確保に向けて、指定権者と支給決定権者の連携や、労働局・ハローワークとの情報共有を強化するよう依頼しています(厚生労働省「就労継続支援A型の状況について」社会保障審議会障害者部会 第147回・令和7年6月26日 参考資料9)。
ですから、もし事業所から「あとはご自分で探してください」と言われたら、こう伝えて大丈夫です。
「続けて働きたいので、ほかの事業所との連絡調整をお願いします」
これはわがままではなく、法律に書かれたことをお願いしているだけです。言いにくければ、相談支援専門員から伝えてもらう方法もあります。
先に自分から辞めてしまうと、対象から外れることがあります
この義務には、対象者の範囲が決められています。条文は「当該届出の日前一月以内に当該指定障害福祉サービスを受けていた者」と書いています。つまり、廃止の届出が出される日の1か月前より前に自分から辞めてしまうと、この義務の対象から外れてしまう可能性があります。
閉鎖の話が出ると「気まずいから早く辞めよう」と考えたくなります。その気持ちはとてもよく分かります。ただ、先に辞めてしまうと、事業所に連絡調整をお願いする根拠を自分から手放すことになります。
おすすめの順番はこうです。在籍したまま次を探す。見学に行く。次が決まってから辞める。見学は、いま通っている事業所を辞める前でも行けます。「辞めてからでないと見学できない」というルールはどこにもありません。
いま通っている事業所を辞める前に、見に来ていただけます
在籍したままの見学で問題ありません。日程が決まっていなくてもお申し込みいただけます。電話番号の記入は任意で、記入がなければこちらから電話することはありません。
見学・体験を相談する / お電話:011-600-6903
札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク(東区役所前駅4番出口から徒歩1分・地下直結)
閉鎖で解雇された人は、実際どこへ移ったのか
不安なときは、実際の数字を見ておくと少し落ち着きます。
厚生労働省の集計によると、令和6年度にハローワークが解雇届で把握した障害のある方の解雇者数は9,312人。そのうちA型事業所の利用者だった方が7,292人でした。
その7,292人が、その後どうなったか。令和7年4月末時点の集計はこうなっています。
| その後 | 人数 |
|---|---|
| 再就職が決まった | 2,171人 |
| うち、またA型事業所へ就職 | 1,573人 |
| B型事業所等へ移行(予定を含む) | 3,834人 |
| 求職中 | 856人 |
| その他 | 431人 |
ここで注目していただきたいのが、再就職が決まった2,171人のうち、1,573人がまたA型事業所で働いているという点です。再就職した方の7割以上が、A型に戻っています。
事業所が閉鎖したからといって、A型で働けなくなるわけではありません。閉鎖したのはその事業所の経営であって、あなたの働く力ではないからです。なぜ閉鎖がこれほど増えたのかという背景は別の記事にまとめていますが、大きな要因は令和6年度の報酬改定と、生産活動の収支です。実際、解雇が10人以上出た事業所の約9割は、生産活動の収支が赤字でした。
いっぽうで、B型等へ移った方が3,834人と、いちばん多くなっています。B型は雇用契約を結ばないため、最低賃金の保障がなく、受け取るのは「賃金」ではなく「工賃」になります。収入は大きく下がるのが一般的です。B型しかないと思い込む前に、A型の選択肢を一度は見ておいてほしい、というのが私たちの実感です。
札幌で明日から動く順番と、電話をかける先
ここからは実務です。札幌市東区にお住まいの方を想定して書きますが、区が違うのは窓口の場所だけで、順番は同じです。
1|いまの事業所に「連絡調整」をお願いする
最初にやるのはこれです。前の章で書いたとおり、法律上の義務です。サービス管理責任者か、話しやすい職員の方に「続けて働きたいので、次の事業所との連絡調整をお願いします」と伝えてください。
あわせて、受給者証を返してもらう(または手元にあることを確認する)のもこのタイミングです。
2|相談支援専門員に連絡する
サービス等利用計画を作ってくれた相談支援専門員がいる方は、次に連絡してください。事業所が変われば計画の変更が必要になりますし、事業所探しも一緒にやってくれます。
「誰が担当だったか分からない」という方は、受給者証に相談支援事業所の名前が書かれていないか確認してみてください。それでも分からなければ、次の区役所で聞けば教えてもらえます。
3|区役所の保健福祉課へ(受給者証と支給決定のこと)
受給者証や支給決定に関することは、お住まいの区の区役所が窓口です。東区の場合はこちらです。
- 東区役所 保健福祉部 保健福祉課(2階23番窓口)
- 〒065-8612 札幌市東区北11条東7丁目1-1
- 電話 011-741-2400(代表)
- 受付 8時45分〜17時15分(土日祝・年末年始を除く)
制度全体のことで迷ったときは、札幌市 保健福祉局 障がい福祉課 自立支援担当(011-211-2938)でも相談できます。
市内にどんな事業所があるかは、札幌市の「事業所一覧」ページで公開されています。就労継続支援A型を含む指定事業所がエクセルでまとまっているので、通える範囲の事業所を自分で確認できます。(出典:札幌市「事業所一覧」)
4|ハローワークへ(雇用保険と、次の仕事のこと)
A型事業所は雇用契約を結んで働く場所なので、雇用保険に加入しています。解雇されたときは、失業給付の対象になり得ます。これはB型にはない、A型で働いていた方だけの権利です。
ここで間違えやすいのですが、札幌市東区を管轄するのは「ハローワーク札幌東」ではなく「ハローワーク札幌北」です。名前につられて札幌東へ行ってしまう方がいます。
- ハローワーク札幌北(管轄:東区・北区・石狩市〈浜益区を除く〉・当別町)
- 〒065-8609 札幌市東区北16条東4丁目3-1
- 電話 011-743-8609
- 受付 8時30分〜17時15分(土日祝・年末年始を除く)
- 地下鉄東豊線「東区役所前駅」2番出口から徒歩約12分
厚生労働省は、A型事業所を解雇された方向けに、ハローワークで次のような支援を行うとしています。障害特性を踏まえた個別の職業相談・職業紹介、雇用保険の手続きや支援策についての説明会・出張相談、雇用保険の集団受付、そしてA型事業所の離職者向けの企業見学会・就職面接会です(前掲・参考資料9)。
窓口では「A型事業所が閉鎖して解雇されました」と最初に伝えてください。想定された相談として扱われます。
5|次の事業所を見学する
ここまで来たら、実際に見に行く段階です。書類の上で比べても分からないことのほうが多いので、2〜3か所は見ておくことをおすすめします。冬でも疲れない見学日程の組み方や、見学で聞くべき質問のテンプレートもまとめてあります。
閉鎖を経験した方に、ぜひ見学で確認していただきたいことがひとつあります。「この事業所の仕事は、どこからお金が入ってくるのか」です。生産活動の収支が赤字かどうかが、閉鎖の分かれ目になっているからです。何を作って、誰に売っていて、それが続いているのか。遠慮せず聞いて構いません。潰れる前兆のサインも参考にしてみてください。
ネクサスリンクは、いま受け入れができます
ここからは私たちの事業所の話です。判断材料のひとつとして読んでください。
札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンクは、定員20名に対して現在11名です(2026年8月時点)。空きがあります。閉鎖でお困りの方は、順番待ちをお願いすることなくお受けできる状況です。
場所は東区役所前駅の4番出口から徒歩1分、セレスタ札幌の1階です。地下からつながっているので、冬に雪道を歩く必要がありません。東区役所とは、ほぼ隣のブロックです。区役所で受給者証の手続きをした帰りに、そのまま寄っていただけます。ハローワーク札幌北も同じ東区役所前駅から徒歩12分ですので、1日でまとめて回れます。
仕事は、パソコンと飲食の二本柱です
ネットショップの運営(商品登録・撮影・採寸・出品・受注管理)、データ入力や請求書処理などの事務、Webデザインやコーディング、動画編集、AIを使った業務。それとは別に、調理パン・カフェ・お弁当・仕出しといった飲食の仕事があります。狸小路のたこ焼き店もあります。
時給はIT・事務が1,075円〜、飲食が1,175円〜1,200円です(2026年8月時点)。勤務は基本9:30〜15:00で、担当する業務によって調整できます。雇用保険と労災保険に加入します。給料と労働条件の詳細はこちらにまとめています。
入る前に職種を決めきらなくて大丈夫です。やってみて合わなければ、事業所を変えずに別の仕事へ移る相談ができます。履歴書の上で転職回数が増えません。閉鎖で一度環境が変わったばかりの方に、もう一度環境ごと変えていただくのは避けたいからです。
働きづらさを、本人の頑張りではなく仕組みで減らしています
閉鎖を経験された方は、次の場所で「またしんどい思いをするのでは」と身構えていることが多いと感じます。私たちが用意しているのは、気合いではなく仕組みのほうです。
- 指示は口頭だけでなく、テキストやチャットでも渡します。完成形・締切・優先順位を明示し、「いい感じにやっておいて」という渡し方をしません
- 担当箇所にミスがあると画面に自動でエラーが出ます。間違えやすい項目は警告色にしています。注意力に頼らせない設計です
- 電話や接客は、希望しない方にはお願いしていません。急に鳴った電話を近くの人が取る、という場面がありません
- 席は個別です。チャットの雑談は参加自由。言いにくいことは職員経由で伝えられます
- 休む理由を詮索しません。「体調が悪いので休みます」で通ります
見学の日は、日替わりのまかないランチを無料でお試しいただけます。利用者が普段200円で食べているものと同じものです。Instagram(@nexuslink.sapporo)では、バーチャル職員の「ひより」が事業所の様子を紹介しています。中の雰囲気は、こちらでも見ていただけます。
よくあるご質問
Q. 事業所が閉鎖したら、受給者証は返さないといけませんか?
いいえ。返還を求められるのは、市町村が支給決定そのものを取り消したときだけです(障害者総合支援法 第25条第2項)。事業所の閉鎖は取消事由に含まれていません。有効期限まで手元に持っておいてください。
Q. いま通っている事業所を辞めてからでないと、見学できませんか?
そんなことはありません。在籍したままで見学していただけます。むしろ、先に辞めてしまうと、閉鎖する事業所に連絡調整をお願いする根拠(同法 第43条第4項)から外れてしまう可能性があります。次が決まってから辞めるほうが安全です。
Q. 次が決まるまでに空白ができても大丈夫ですか?
期限の定めはないので、空白そのものが違反になることはありません。ただし「サービスを受ける必要がなくなった」と判断される規定がある以上、区役所と相談支援専門員に「探している最中です」と伝えておいてください。連絡が取れる状態にしておけば十分です。
Q.「B型に移るしかない」と言われました
実際、令和6年度に解雇された方のうちB型等へ移った方がいちばん多くなっています。ただし、再就職が決まった2,171人のうち1,573人はA型に就職しています。A型という選択肢が消えたわけではありません。B型は雇用契約がなく、受け取るのは賃金ではなく工賃になるため、収入は下がるのが一般的です。決める前に、A型を一度見ておいてください。B型とA型の違いもまとめています。
Q. 失業給付をもらいながら次を探せますか?
A型は雇用契約を結ぶため雇用保険に加入しており、失業給付の対象になり得ます。ただし受給できる条件や、次のA型で働き始めたときの扱いは個別の事情によって変わります。ここは推測で動かず、ハローワーク札幌北(011-743-8609)で必ず確認してください。厚生労働省は、A型の離職者向けに雇用保険の集団受付や出張相談を行うとしています。
Q. ネクサスリンクの見学では何をしますか?
事業所を見ていただき、実際の仕事の様子をご覧いただきます。所要は1時間ほどです。体験をご希望の場合は1〜1.5時間で、合わなければその日で終わりにして構いません。見学・体験・面接の違いと当日の流れもご覧ください。
最後に
閉鎖を告げられた日は、自分が否定されたように感じるものです。でも、閉鎖の理由の多くは事業所の経営、とくに生産活動の収支です。解雇が10人以上出た事業所の約9割が赤字だった、という国の集計がそれを示しています。あなたの働く力の話ではありません。
受給者証は生きています。期限もありません。事業所には次を探す義務があります。順番に動けば大丈夫です。
そのうえで、行き先の候補のひとつとして見ていただけたら嬉しいです。まだ何ができるか分からなくても、見に来ていただいて大丈夫です。
見学・体験のお問い合わせ


見学だけ、話を聞くだけでも構いません。
日程が決まっていなくても、お申し込みいただけます(下の日付は空欄のままで送れます)。
見学の日は、日替わりランチを無料でお試しいただけます。
電話番号の記入は任意です。記入がなければ、こちらから電話することはありません。
札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク
出典































