📍 はたらく階段|STEP 2
この記事は、札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンクが、A型事業所から就職までに身につけたいことをまとめたシリーズの1本です。順番や、いま自分がどの段にいるかはシリーズの目次と読み方をご覧ください。
先に3行だけ書いておきます。
- 聞いているだけでは、忘れます。これは覚える力の問題ではありません。
- メモは、学校のノートのようにきちっと書かなくていいです。走り書きでも、単語だけでも構いません。
- 基準はひとつだけ。読み返したとき、そのときの情景が戻ってくるかです。
今日やることは、これだけです。いま手元にある紙を1枚、ポケットに入れる。買いに行かなくていいです。裏紙でも、レシートの裏でも構いません。
そして、メモを何度も試して続かなかった方には、別に書いてあります。落ちる場所はだいたい決まっているので、そこを先に外す話を後半に入れました。
聞いただけでは、覚えられません

指示を聞いている最中は、たいてい「覚えられそうだ」と思っています。内容が分かるので、そのまま頭に残る気がする。だから書きません。
ところが、作業に入るころには消えています。しかも、いちばん厄介なのはここです。
全部忘れるのではなく、半分だけ残ります。
全部忘れていれば、もう一度聞きに行きます。でも半分覚えていると、聞きに行きません。覚えている半分でやってしまって、あとで違っていたと分かる。これがいちばん多い形です。
そして、これはあなたの覚える力の問題ではありません。口で言われたことは、誰でも消えます。とくに、複数のことを同時に言われたときや、その日調子が重いときは、残りません。
だから、覚えようとするのをやめて、書いてしまうほうが早いという話です。
きちっと書かなくていい ── 基準は「情景が戻るか」

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
メモというと、学校のノートを思い出す方が多いと思います。日付を書いて、行を揃えて、丁寧な字で。あの書き方は、持ち込まないでください。
理由は単純です。きれいに書こうとすると、そちらに気を取られて、話が入ってこなくなります。ノートは整うのに、中身が残りません。
だから、走り書きでいいです。単語だけでいいです。矢印、記号、丸で囲む。全部ありです。文章にしなくて構いません。
そのうえで、判定の基準はひとつだけです。
あとで読み返したとき、そのときの情景が戻ってくるか。
戻ってくるなら、それでいいメモです。字が汚くても、順番がばらばらでも関係ありません。
逆に言うと、きれいに書いてあっても、情景が戻らないメモは役に立ちません。
そして、この基準のいいところは、合否を決めるのが自分だという点です。人に採点されません。
同じ内容でも、こう変わります
たとえば、こういう指示を受けたとします。「商品を登録するとき、写真は3枚以上つけてください。サイズは1000ピクセル以上で。前に写真が小さすぎて、お客さんから問い合わせが来たことがあったので」
| メモ | |
|---|---|
| きれいだけど、戻らない | 「商品登録の際は、写真を3枚以上添付し、サイズは1000px以上とすること」 |
| 走り書きだけど、戻る | 「写真3枚↑ 1000px↑ ※前に小さすぎて問い合わせ来たやつ」 |
下のほうは、字も汚いし文章にもなっていません。でも読み返すと、「なぜそうするのか」まで戻ってきます。だから、似た場面で自分で判断できます。
上のほうは整っていますが、読み返しても「なぜ3枚なのか」が分かりません。だから、また聞くことになります。
まずは、数字だけ
全部書こうとすると追いつきません。だから、拾うものを絞ります。
最初は、数字だけでいいです。個数、時間、期限。ここだけは記憶に頼らないでください。数字は聞き間違えやすく、間違えると必ずやり直しになります。
数字が拾えるようになってきたら、順に足していってください。
- 数字(個数、時間、期限)
- 固有名詞(誰、どのファイル、どの商品)──「あれ」で覚えると必ず消えます
- 例外(「ただし〜のときは」)── いちばん忘れるところです
- なぜそうするのか ── 理由が残ると、次に似た場面で自分で判断できます
4つを同時に分類しようとしなくて大丈夫です。聞きながら仕分けするのは、かなり難しい作業です。1番から順に、できる範囲でいいです。
聞きながら書かなくていい ── 交互で足ります
「聞きながら書く」は、いちばん難しいところです。書いていると話が入ってこないし、聞いていると手が止まる。これは、慣れの問題だけではありません。同時に2つやるのが苦手な方には、そもそも向いていない形です。
なので、同時にやらないでください。交互で足ります。
- 相手が一区切り話したら、そこで手を動かす
- 書いているあいだは、聞かなくていい
- 書き終わったら、顔を上げる。相手はそこから続けてくれます
間が空くのを気にしなくて大丈夫です。数秒です。そして、この一言を入れれば、待ってもらえます。
すみません、メモします。
言えば止まってくれる、と分かると、書くのが楽になります。これは覚えておいて損のない一言です。
それも間に合わなかったら、聞き終わってすぐ、その場を離れる前に書いてください。机に戻る途中で消えます。1歩動く前に、単語だけ落とす。これでかなり残ります。
ちなみに、字が汚いのはまったく問題になりません。相手はあなたのメモを読みません。書いているという動きを見ているだけです。
そして、その場で書くのを続けていくと、これは就職したあとにもそのまま持っていけます。新しい職場で最初に見られるのが、ここだからです。どんどんチャレンジしていいところです。
職員さんに、頼んでいいこと

ここまで、あなたが書く話ばかりしてきました。でも、頼んでいいこともあります。覚えられないのを、全部ひとりで引き受けなくて大丈夫です。
- 「すみません、メモします」── 止まってもらう。いちばん使えます
- 「数字だけ、書いてもらえますか」── 数字は聞き取りにくいので、書いてもらったほうが確実です
- 「あとでもう一度確認させてください」── その場で全部覚えなくていい形にできます
- 「もう一度お願いします」── 聞き直しは、遠慮するところではありません
どれも、嫌がられる頼み方ではありません。
そして、ここははっきり書きます。何度も同じことを聞くのが申し訳なくて、聞かずに自分の判断でやってしまう——これはよくある形ですが、そのほうが手戻りが大きくなります。
聞かれるのは1分で終わります。やり直しは1時間かかることがあります。聞いたほうが、お互い楽です。
メモが続かなかった方へ
メモを何回も試して、続かなかった経験がある方もいると思います。書きかけのノートが、何冊も残っている。そういう話は、けっこう聞きます。
落ちる場所は、だいたい決まっています。先に外しておきます。
ノートを持ってくるのを忘れた日
その日は、手のひらでも、紙の裏でも、スマホでも構いません。あとで書き写さなくていいです。
続けるのはノートではなく、書くという動きのほうです。道具が変わっても、切れたことになりません。
読み返すのを忘れる
いちばん多い落ち方です。読み返さないメモは、書いていないのとほぼ同じなので、ここは仕組みで押さえます。
時間で決めると、忘れます。だから、すでに毎日やっている動作にくっつけてください。
- 席に座ったら、開く
- 作業を始める前に、開く
- 帰る前に、1回だけ開く
どれか1つで足ります。順番として固定すると、思い出さなくても開きます。
1冊を汚してしまって、開けなくなった
1冊を続けなくて大丈夫です。使い捨て前提で構いません。
汚れたら次のを使う。前のは捨てても、置いておいてもいい。ノートを大事にするのが目的ではありません。
前に何度も失敗している
これがいちばん重いところだと思います。何度も試して、何度もやめた。だから今回も続かないだろう、と。
ただ、死んだノートの数は、続くかどうかとは関係ありません。あれは失敗の記録ではなく、試した回数です。
そして今回は、落ちる場所が分かっています。前は分からなかったところです。それだけで、条件が違います。
読み返して情景が戻らなかったときも、責めるところではありません。1語足りなかった、というだけのことが多いです。次に1語足せば、たいてい戻ります。
それでも戻らないものが続くなら、メモの書き方だけの話ではないかもしれません。そのときは、試したことと、うまくいかなかったことをそのまま職員さんに見せてください。渡し方のほうを変えられることがあります(紙で渡す、その場で一緒に確認する、数字だけ先に書いておく、など)。ひとりで工夫し続けるところではありません。
主治医の先生に相談するときも、「何を試して、どこがうまくいかなかったか」を持っていくと話が進みます。「覚えられません」だけだと、「メモを工夫してみましょう」で終わってしまうことがあるので。
道具の話(ノートを買うなら)

手元の紙で始めて、続きそうだと思ったら、そのとき買えば足ります。
ネクサスリンクでは、指示された内容はメモを取るようにお願いしています。用意するものは100円ショップのノートとペンで十分です。特別な道具は要りません。
ひとつコツがあります。いいノートを買わないでください。きれいなノートは、きれいに書こうとして手が止まります。汚してもいいものが、いちばん続きます。ポケットに入るサイズで、「サッ」と取り出せる程度のものでOK。
紙とスマホ、どちらでもかまいませんが、紙のほうが少し有利です。開くのが速く、相手の前で使っても「話を聞いていない」と見られません。
紙のノートを買ったからといって、損することはありません。むしろ自己投資といって、買うからこそ得られる経験もありますよ。
これができると、こうなります
- 同じことを2回聞かなくて済みます。聞き直すのがしんどい方には、ここがいちばん大きいと思います
- やり直しが減ります。数字と例外の取り違えが減るので、作業が1回で終わります
- 自分の判断でやってしまう回数が減ります。手元に確かめるものがあるからです
- 覚えることに使っていた力が空きます。そのぶん、作業のほうに回せます
4つめが、じつはいちばん効きます。「忘れないようにしよう」に使っている力は、けっこう大きいので、そこが空くと1日の疲れ方が変わります。
やり方は、4段です
| 段 | やること |
|---|---|
| 1 | 手元の紙を1枚、ポケットに入れる(今日やること) |
| 2 | 言われた数字だけ書く。あとからでもいい |
| 3 | その場で書く。「すみません、メモします」で止めてもらう |
| 4 | すでにやっている動作にくっつけて、読み返す |
1段目と2段目だけでも、忘れる量はかなり減ります。3段目と4段目は、そのあとで足していってください。
まとめ
- 聞いただけでは忘れます。しかも半分だけ残るので、聞き直さずに間違えます
- きちっと書かなくていいです。基準は「読み返して情景が戻るか」だけ
- 聞きながら書かなくていいです。交互で足ります。「すみません、メモします」で止めてもらえます
- 頼んでいいことがあります。数字を書いてもらう、あとで確認させてもらう。ひとりで抱えなくて大丈夫です
札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンクは、実際のお客様の仕事を担当します。メモを取る練習も、そのまま実務の中でできます。
最後に
今日やることは、手元にある紙を1枚、ポケットに入れるだけです。
次に何か言われたら、数字だけ書いてみてください。それで十分です。
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見学だけ、話を聞くだけでも構いません。
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札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク
































