📍 はたらく階段|STEP 2
この記事は、札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンクが、A型事業所から就職までに身につけたいことをまとめたシリーズの1本です。順番や、いま自分がどの段にいるかはシリーズの目次と読み方をご覧ください。全部読まなくて大丈夫です。
先に3行だけ書いておきます。
- 同じ作業でも、何のためにやっているかの捉え方で、疲れ方も成果も変わります
- ただし、これはやる気の話ではありません。知っているかどうかの話です
- 今日やることは、この記事のことを職員さんに話して、一緒に考えてみるだけです
旅人と、3人のレンガ職人のはなし

昔から語られている話です。
ある旅人が街道を歩いていると、1人目の男がレンガを積んでいました。
「あなたは何をしているのですか」
「見ればわかるだろう。レンガを積んでいるんだ。朝から晩まで、暑い日も寒い日も。腰は痛いし、まったくついてないよ」
旅人がさらに歩くと、2人目の男が同じようにレンガを積んでいました。
「あなたは何をしているのですか」
「家族を養うために、壁を作っているんだ。大変な仕事だが、これがあるから食べていける。ありがたいと思っているよ」
もう少し歩くと、3人目の男が生き生きとレンガを積んでいました。
「あなたは何をしているのですか」
「歴史に残る大聖堂を造っているんだ。ここで多くの人が祈り、心を癒やすことになる。こんな仕事に関われて、光栄だよ」
3人がやっていた作業は、まったく同じです。違ったのは、自分が何をしているかの捉え方だけでした。
3人の違いを、並べてみます
| 答え | 目的 | 姿勢 | |
|---|---|---|---|
| 1人目 | レンガを積んでいる | なし(言われたからやっている) | つらさと不満ばかり |
| 2人目 | 家族を養うために壁を作っている | お金を稼ぐこと(生活のため) | 責任感はあるが、やりがいは少ない |
| 3人目 | 歴史に残る大聖堂を造っている | 人の役に立つこと | 生き生きと、誇りを持って |
この話が言っているのは、意味づけの力です。
目の前の仕事が何につながっているかを、どれだけ大きく捉えられるか。そこで、やりがいも、成果も、疲れ方も変わってきます。
なぜ、捉え方で疲れが変わるのか
精神論のように聞こえるかもしれませんが、理由はもう少し単純です。
意味が分からない作業は、終わりが見えません。
「あと何回これをやるのか」「これが何になるのか」が分からないまま手を動かしていると、ずっと続く感じがします。1時間が2時間に感じます。
逆に、先が見えていると、同じ作業でも短く感じます。「これが終われば、あの人のところに届く」と分かっていると、区切りができるからです。
1人目がしんどいのは、根性がないからではありません。目の前のレンガしか見えていないからです。
ただし、意味づけで軽くならないものもあります。量が多すぎるときや、体調が落ちているときは、見方を変えても軽くなりません。大聖堂を見ていても、重い荷物は重いです。そこは職員さんと量を決め直す話になります。
ネクサスリンクの仕事で言うと
ネクサスリンクでやっている、ネット販売の仕事で考えてみます。
そのままだったら、誰にも気づかれずに捨てられていた商品があります。まだ十分に使えるのに、必要としている人に見つけてもらえないまま、廃棄されるはずだったものです。
その商品を、写真に撮り、説明を書き、たくさんの人の目に留まる場所に並べます。
すると、どこかにいる「これ、欲しかったんだよね」という人の目にとまります。そして、その人のところへ届きます。
捨てられるはずだったものを、必要としている人に、正しく届ける。
これが、この仕事がやっていることです。そしてその1件1件は、あなたが手を動かしたぶんだけ生まれています。
同じ作業も、こう見えてきます。
| 作業 | 1人目の見え方 | 3人目の見え方 |
|---|---|---|
| 商品を選ぶ | 品物を選んでいる | 捨てられる前に、拾い上げている |
| 写真を撮る | 写真を撮っている | この1枚が暗いと、欲しかった人に見つけてもらえない |
| 説明文を書く | 文章を打っている | これを読んで「まさにこれだ」と思ってもらう |
| 出品 | 商品を登録している | 探している人の目に届く場所に、並べている |
| 梱包 | 箱に詰めている | 待っていた人が、最初に見るのがこの状態 |
| 検品 | チェックしている | 見逃すと、せっかく届いたのにガッカリさせてしまう |
右側は、作り話ではありません。実際にそうなっています。
あなたが撮った写真を見て、本当に誰かが買うかどうかを決めます。あなたが梱包した箱を、本当に誰かが開けます。ただ、そこが見えていないだけです。
つまりこの仕事は、「商品を右から左へ動かす作業」ではありません。捨てられるはずだったものを拾い上げて、必要な人に渡すところまでが、ひとつながりです。
これが、レンガの向こうにある大聖堂です。
3人目になる方法は、一緒に考えることです

ここが、この記事でいちばん言いたいところです。
3人目は、やる気がある人ではありません。自分の作業の先に何があるかを知っている人です。
3人とも、同じ場所に立っています。でも、同じものを見ていません。1人目は手元のレンガまで、2人目は今日の壁まで、3人目は完成した建物と、そこに来る人まで見えています。
だから、気持ちを高める必要はありません。やることは、この記事のことを職員さんに話してみるだけです。
「旅人とレンガ職人の話を読んだのですが、それでいうと、この仕事はどんな目的なんでしょうか」
そう相談して、一緒に考えてみてください。
この形だと、言いやすいと思います。いきなり「この仕事の意味は何ですか」と聞くと重くなりますが、記事の話としてなら切り出しやすいはずです。
そして、ひとりで答えを出さなくていいです。出品したものは誰が買うのか。梱包したものはどこへ行くのか。入力した数字は次に誰が見るのか。そこは、職員さんのほうが知っています。
口で言いにくければ、メッセージで送って構いません。Slack や Chatwork に1行送っておけば足ります。
知れば、見え方は勝手に変わります。変えようとしなくて大丈夫です。
見えるようになると、自分から動けるようになります
これが、いちばん大きい変化かもしれません。
先が見えると、言われていないことに気づけるようになります。
| 先が見えていないと | 言われたことをやる。それで終わり |
| 先が見えていると | 「この写真、暗いので撮り直したほうがいいですね」が出てくる |
これは、指示待ちの反対側です。ただ、やる気が変えたわけではありません。情報が変えています。
買う人の顔が浮かんでいれば、暗い写真は自然に気になります。浮かんでいなければ、気になりようがありません。意識の問題ではなく、見えているかどうかです。
そして、こうやって気づいたことを1つ言えるようになると、任される仕事が変わってきます。
2人目も、間違ってはいません
念のため書いておきます。
給料のために働くのは、当たり前のことです。A型事業所は雇用契約を結んで働く場所ですし、生活のために働くのは、まったく恥ずかしいことではありません。2人目には責任感があります。
ただ、2人目のままだと、しんどい日に踏ん張る理由が、お金だけになります。
3人目を目指すというのは、お金を捨てる話ではありません。支えるロープを、もう1本増やすという話です。1本より2本のほうが、切れにくくなります。
1人目も、怠けているわけではありません
ここも書いておきます。
1人目は、先を教わっていないだけです。教わっていないものは、見えません。見えないものを見ろというほうが無理です。
だから、いま1人目の状態でも、何も悪くありません。一度相談すれば、それで移れます。
やり方は、3段です
| 段 | やること |
|---|---|
| 1 | 「この記事を読んだのですが、この仕事はどんな目的なんでしょうか」と相談する(今日やること) |
| 2 | 作業中に、その先にいる人を1回思い出す |
| 3 | 気づいたことを1つ言ってみる。「ここ、こうしたほうがよくないですか」 |
1段目だけで十分です。1回相談できたら、その日は終わりです。
そして、聞いてもピンとこない日があります。それで構いません。ピンとくるのは、たいてい何日か経ってからです。
いきなり3人目にはなれません
当たり前ですが、1日で3人目になることはありません。
やることは1つだけです。少しずつ、知っていく。作業を1つ覚えるたびに、その先も1つ聞いておく。それだけです。
1か月くらい経ったら、1か月前の自分を思い出してみてください。
| 1か月前 | 言われた作業を、言われたとおりにやっていた |
| いま | この作業が何になるのか、少し分かっている |
比べる相手は、周りではなく1か月前の自分です。ただし、調子が落ちている時期は比べないでください。必ず悪く見えます。
まとめ
- 同じ作業でも、意味づけが変わると、やりがいも成果も疲れ方も変わります
- 3人目は、やる気がある人ではありません。先に何があるかを知っている人です
- なる方法は、職員さんに相談して一緒に考えること。ひとりで答えを出さなくていいです
- 先が見えると言われていないことに気づけます。やる気ではなく、情報が変えています
- 2人目も1人目も、間違ってはいません。ロープを1本増やす、という話です
札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンクでは、その作業がどこへつながっているかを、聞いてもらえればいつでもお話しします。知らないまま手を動かす必要はありません。
最後に
今日は、いま担当している作業について、これを1回だけ相談してみてください。
「旅人とレンガ職人の話を読んだのですが、それでいうと、この仕事はどんな目的なんでしょうか」
大聖堂は、まだ見えなくて大丈夫です。一緒に考えるところからで十分です。
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札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク
































