「ネットショップの仕事」と聞いても、具体的に何をするのかは分かりにくいと思います。
そこで、札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンクでEコマース(ネットショップ運営)を担当している榊原さんに、現場のことをそのまま聞きました。

聞いてみて、いちばん意外だったのはここです。この仕事は、人に合わせなくて済みます。
1品をネットに出すまで、5つの工程があります
まず、仕事の全体像です。商品を1つ出品するまでに、こういう順番で進みます。
| 工程 | やること |
|---|---|
| 1. 選ぶ | 出品する商品を選びます |
| 2. 検品する | 状態を確認します。傷や不具合がないか |
| 3. 撮影する | 商品の写真を撮ります |
| 4. 値付けする | いくらで売るかを決めます |
| 5. 出品する | ネットに載せます |
かかる時間は、商品によって変わります。
| 小物 | 20分〜30分ほど |
| 家電 | 1時間ほどかかる場合もあります |
扱う商品は、連携している業者の方が、そのつど仕入れてくださっています。練習用に用意した架空の商品ではありません。実際に売る商品です。
誰かを待たなくていいし、誰かに渡さなくていい

ネクサスリンクのEコマースは、工程を分けていません。
「撮影する人」「値付けする人」というふうに分けず、1品について選ぶところから出品するところまで、基本的に一人で完結します。
これは、こういうことです。
| 前の人の作業が終わるのを待つ | ありません |
| 次の人に渡すために急ぐ | ありません |
| 誰かのペースに合わせる | ありません |
自分のペースで、1つずつ進められます。
流れ作業だと、どうしても前後の人が気になります。遅れていないか、待たせていないか。その緊張が、いちばん疲れるという方もいます。
1品を最後まで自分で持つ形なら、そこが起きません。今日は3品でも、調子がいい日は8品でも、誰かの作業を止めることにはなりません。
ちなみに、榊原さんが挙げた理由は別のところにありました。
そうすることで、出品する商品に対して責任感を持つことができるからです。
自分が選んで、自分が値段を決めて、自分が出した商品になります。「言われた作業をこなした」では終わらないということです。
未経験でも、最初から一通り触ります
「全部やる」と聞くと、身構えるかもしれません。
ですが、未経験の方も最初から一通りの作業を体験しながら覚えていく形です。慣れている方と初めての方とで、扱う商品が変わることもありません。
理由は単純です。全体が見えないまま一部分だけをやり続けるほうが、じつは分からなくなるからです。最初に流れを通しておくほうが、結果としてラクに覚えられます。
そして、一人きりで放り出されるわけではありません。
- 分からないことは、そのつど聞けます
- 検品で不具合が見つかったら、職員に相談すれば指示が出ます
- 出品する前に、職員が確認します
間違えたまま世に出ることはありません。そこは仕組みで止めています。
いちばん大事なのは、値付けです

5つの工程のうち、どれがいちばん大事かを聞きました。
1番大事なのは、どういう値付けをするかですね。支援ツールを扱いながらも、自身のリサーチ力が問われます。
同じ商品がいくらで売られているのか、相場を調べます。作業しやすくするための支援ツールはありますが、最後に決めるのは自分です。
ここが、「軽作業」と呼ばれる仕事とはっきり違うところです。決まった手順をなぞるだけでは終わりません。
値付けで教えている、たった1つのこと
教えるときに気をつけていることを榊原さんに聞いたら、この答えが返ってきました。
商品の価値を決めるのは、お客様であるということですね。
主観を入れすぎず、客観的に価値を見極める姿勢が大事です。
「自分ならこのくらい出す」ではなく、「買う人はいくらなら出すか」で考える、ということです。
これは、どんな仕事でも使える考え方です。自分の感覚ではなく、相手の目で判断する。仕事の完成度を判定するのは自分ではないという話とも、同じところにつながります。
判断は本人に任せます。ただし、出す前に職員が確認するので安心

「どこまで本人に任せて、どこから職員が入るのか」を聞きました。
大きな間違いが起こらない限りは、利用者さんの判断を尊重して、作業を進めていただいております。
そして、その「大きな間違い」が起きないように、出品する前に職員が確認する体制になっています。
| 場面 | どうなるか |
|---|---|
| ふだんの判断 | 本人に任せます。いちいち確認を求められません |
| 出品する前 | 職員が確認します。大きな間違いを未然に防ぎます |
| 検品で不具合が見つかった | 職員に相談してください。そのつど状況を見て指示します |
「自由にやらせて、失敗したら本人の責任」ではありません。任せる範囲と、止める場所が決まっています。
これは、ミスを仕組みで補うという事業所全体の考え方と同じです。注意力だけに頼らない形にしてあります。
5品だった方が、13品出せるようになりました

1日に5品を出品していた方が、13品出せるようになった、という話があります。
その日に何があったのかを聞いたら、こう返ってきました。
特にその日も、特別なにかが変わった訳ではありません。日々の積み重ねが、成果として表れたのだと思います。
劇的な転機はありませんでした。ただ、その「積み重ね」には形があります。
作業報告が、そのまま記録になります
ネクサスリンクでやっているのは、この2つだけです。
| 1 | 周りと比べず、日々コツコツ仕事をする |
| 2 | 作業報告をする |
この2つを続けていると、「自分が何をやったか」の記録がたまっていきます。
そして、あるとき過去を振り返ると——自分が成長していることが、目で見て分かります。
ここが大事なところです。成長は、感覚では分かりません。毎日やっていると、自分では変化に気づけないからです。記録があるから、あとから見えます。
実際に、過去の作業報告を振り返って「自分が成長している」と実感できた、と喜んでいた方がいました。
誰かに褒められたからではありません。自分の記録を、自分で読んで気づいたということです。これは、外から与えられる自信とは強さが違います。
5品が13品になったのも、その積み重ねの結果でした。特別な日があったわけではありません。
比べる相手は、周りではなく過去の自分です。そして日報に1行書く習慣が、その比較を可能にします。
止まっている時期も、必要な時期です
伸び悩む時期について、こう話していました。
止まっていたわけではなくて、成長のための紆余曲折する時期だったのだと思います。
数字が動かない時期を「停滞」と呼ぶか、「途中」と呼ぶか。ここの見方が、続くかどうかを分けます。
3か月後、どこまでできるようになるか
目安を聞きました。
3か月後には、1日で10品以上、出品できるようになることも、個人のがんばり次第では可能です。
「必ず」ではありません。人によって差があります。ただ、3か月という期間で、そこまで行く方がいるということです。
小物1品に20〜30分かかっていたところから始まって、です。
最初からうまくできる人は、いません

「自分にできるだろうか」と思っている方へ。職員の言葉をそのまま載せます。
最初からうまくできる人はそうはいませんので、皆さん、経験を重ねて出来ることが増えていきます。
うまくいかない時期が続いたときは、原因を探ったり、新しい方法を試したりしながら、一緒に乗り越えていきます。根性でどうにかする、という進め方はしません。
一度失敗しても、そこで終わりにはなりません。いろいろ試すうちに、また前向きに作業に向かう方をよく見かけます。
「数字を出される」のが不安な方へ
1日◯品、という数字を聞くと、身構えてしまう方も多いと思います。
数字を出されると、不安に思ってしまう利用者さんも多いですが、一緒に「目標を達成するには?」という意識を育んでいけたらと思っております。
「できたか、できなかったか」を判定するための数字ではありません。「どうすれば届くか」を一緒に考えるための数字です。
分からないことは、聞いていいです
これは、榊原さん自身の言葉です。
私自身も、いまだに分からないことのほうが多いです。それを常に学ぶ気持ちが大切だと思います。
分からないことは恥ずかしいことではないので、遠慮せずに聞いてほしいです。
教える側が「自分も分からないことのほうが多い」と言える職場は、質問のハードルが自然に下がります。
そして、相談できる相手は職員だけではありません。利用者さんの中にも、教えるのが得意な方や、優しい方がたくさんいます。聞ける相手が複数いる、というのが実際のところです。
体調が安定しない方へ
ハンデを抱えている方にとって、「通所する」こと自体が大変だと思います。そこは分かっているつもりです。
そのうえで、通ってきたあとの過ごし方には選択肢があります。
| 静かなところで取り組む | 音や人の気配が気になる日に |
| 一人で黙々と取り組む | 人と話す余力がない日に |
| みんなと協力しながら取り組む | 一人だと詰まってしまう日に |
その日の状態で選べます。「今日は静かにやりたい」でも「今日は誰かと一緒がいい」でも構いません。
ここで身につく力は、外でも使えます
1年後にどうなっていてほしいかを聞きました。
自分のペースで、目標に向かって少しずつでよいので、前進していってほしいと思っております。
「もう外でやれる」と判断する基準についても、はっきりした答えがありました。
周りの状況に合わせて、自分がどう動けばよいのか、考えて行動できるようになれれば、どこでも大丈夫だと思います。
スキルや資格の話ではありませんでした。自分で考えて動けるかどうかです。
そして、そこに近づいたことが分かる瞬間についても聞きました。
皆さん、前向きに作業に取り組む中で、自主的に動いて創意工夫をこらし始めた時です。
どの利用者さんも、このような成長が目に見える時が訪れます。
見学に来たら、ここを見てください
設備でも、パンフレットでもありません。
皆さんが懸命に働いている様子を見て、自分も挑戦してみたいと感じてくださると嬉しいですね。
実際に手を動かしている人の姿を見るのが、いちばん早いと思います。「この中に自分がいる」と想像できるかどうかです。
見学だけ、話を聞くだけでも構いません。その場で決めなくて大丈夫です。
最後に
榊原さんから、この記事を読んでいる方へ。
ぜひ、自分の可能性を信じて、挑戦してみてほしいです。
初めの一歩さえ踏み出せれば、後は未来への道は開かれていると思います。
ネットショップ運営の仕事そのものについては、ECサイト運営ってどんな仕事?でも詳しく書いています。フリマアプリで販売した経験がある方は、メルカリ経験を活かせる仕事もあわせてご覧ください。
見学・体験のお問い合わせ


見学だけ、話を聞くだけでも構いません。
日程が決まっていなくても、お申し込みいただけます(下の日付は空欄のままで送れます)。
見学の日は、日替わりランチを無料でお試しいただけます。
電話番号の記入は任意です。記入がなければ、こちらから電話することはありません。
札幌市東区の就労継続支援A型事業所ネクサスリンク































