結論を3行で
1. A型事業所は国から給付金・助成金を受け取って運営されており、過去には「助成金目当て」で利用者を使い捨てにした悪質な事業所が存在した。
2. 2017年の法改正・2024年の報酬改定で制度は大きく変わったが、現在も一部に要注意な事業所は残っている。
3. 見学・経営情報の公表データ・スタッフの姿勢など、7つのポイントを確認すれば、札幌でも安心できる事業所を選ぶことができる。
「A型事業所って、助成金目当てで運営しているんじゃないの?」
そう感じたことがある方は、決して少なくないと思います。ネットで検索すると「助成金目当て」「悪質」「騙された」という言葉が並ぶこともあって、これからA型を探している方や、今の事業所に違和感を感じている方が不安になるのは当然のことです。
この記事では、A型事業所と助成金の関係を正直に解説した上で、悪質な事業所を見抜くための7つの具体的なポイントをお伝えします。「怖いから使わない」ではなく、「見分け方を知って、安心して選ぶ」ための情報です。
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A型事業所が「助成金目当て」と言われる理由

助成金・給付金の仕組みをざっくり理解する
A型事業所が行政から受け取るお金は、大きく2種類あります。
訓練等給付費(給付金)は、利用者が実際に通所した日数に応じて市区町村から支払われるお金です。利用者1人・1日あたりおおよそ5,000〜10,000円が目安で、これが事業所収入の大半を占めます。つまり「利用者が通ってくれないと事業所が成り立たない」という構造になっています。
特定求職者雇用開発助成金(特開金)は、就職が難しい方を雇用した事業所に対して一定期間支給される助成金です。短時間労働の場合は2年間で最大80万円、一定条件を満たす場合はさらに多く受け取れます。
この2つのお金の存在が、「助成金目当てで運営しているのでは」という疑念の背景にあります。
過去に起きた「特開金悪用」の手口
2010年代前半、実際に問題が起きていました。特開金は「雇用してから2年間」支給される仕組みだったため、悪質な運営者が次のような手口を使いました。
- 利用者を雇用して特開金を2年間受け取る
- 助成金の支給が終わったタイミングで利用者を解雇
- 新しい利用者を雇い直し、また2年間受け取る
この繰り返しによって、障害のある方が「2年でクビ」になるケースが続出しました。事業所によっては閉鎖・再開設を繰り返して助成金をリセットするケースさえありました。
ただし、これは「過去の話」として理解することも重要です。
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2024年報酬改定後の現在、状況はどう変わったか

助成金目当て運営が「しにくくなった」制度の変化
2017年の法改正で、助成金の不正利用に歯止めがかかりました。主な変更点は以下の通りです。
- 賃金の支払い方の変更: 自立支援給付費(給付金)から利用者への賃金を支払うことが原則禁止になり、「利用者の仕事で得た売上から賃金を払う」ことが義務化されました
- 離職率規制の導入: 離職率が25%を超えると特開金が不支給になる仕組みが整備され、利用者を簡単に解雇できなくなりました
- 書類提出の義務化: 事業計画書・損益計算書・個別支援計画の提出が必須になり、行政が経営実態を把握しやすくなりました
さらに2024年4月の報酬改定では、生産活動の実態(売上・収支)がスコアに直接反映される仕組みになり、「利用者に適切な仕事を提供できている事業所かどうか」が報酬に影響するようになりました。
それでも閉鎖が増えている理由との関係
制度が厳しくなった結果、「ちゃんと生産活動で収益を上げられない事業所」が立ちゆかなくなってきています。全国でA型事業所の閉鎖が増えている背景には、この報酬改定の影響が大きく関わっています。
つまり現在の閉鎖ラッシュは、「悪質・助成金目当てな事業所が淘汰されていく過程」とも言えます。一方で、まだ一部には注意が必要な事業所が残っているのも事実です。
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助成金目当ての悪質事業所を見抜く7つのポイント

チェックリスト早見表は次のセクションにまとめています。まず各ポイントの中身を確認してください。
① 生産活動収支が赤字続きで改善計画がない
A型事業所は「利用者が働いて得た収益から賃金を払う」ことが原則です。生産活動収支(仕事の売上と費用の差)が長期間赤字で、かつ「どうやって改善するか」の計画も見えない事業所は要注意です。
見学の際に「どんな仕事をしているか」「その仕事で収益を上げているか」を確認してみましょう。仕事の内容が曖昧だったり、「給付金でまかなっているから大丈夫」という説明が返ってくる場合はサインです。
② 見学・体験を断る、または説明が曖昧
安心して通える事業所は、見学・体験を積極的に受け入れています。「まず一度見に来てください」と言える事業所は、それだけ現場に自信があるということです。
一方で、「見学は難しい」「体験は入所決定後に」といった対応をする事業所は、現場を見せたくない理由がある可能性があります。見学時に業務内容・スタッフの雰囲気・利用者の様子をしっかり観察することが大切です。
③ 利用者の離職率・定着率を開示しない
離職率が高い事業所は、何らかの問題を抱えている可能性があります。前述の通り、離職率25%超では特開金が不支給になる制度があるため、健全な事業所は定着率を大切にしています。
「利用者さんはどのくらい続けて通っている方が多いですか?」と聞いてみましょう。「わからない」「答えにくい」という反応が返ってくる場合は注意が必要です。
④ 個別支援計画の説明が形式的
A型事業所では、一人ひとりに「個別支援計画」を作成することが義務付けられています。この計画は「あなたがどんな目標に向かって、どう支援を受けるか」を示すものです。
書類が形式的で、利用者の状況や希望が反映されていない事業所は、支援よりも「在籍人数の確保(=給付金の確保)」を優先している可能性があります。入所前に「個別支援計画はどのように作りますか?」と質問してみてください。
⑤ 口コミがほぼなく、SNS情報が皆無
実際に通っている(通っていた)利用者の声がまったく見当たらない事業所は、良い評判がないか、利用者が情報発信できない環境にある可能性があります。
Googleマップのレビュー・SNS・就労支援系の口コミサイトなどで事前に検索してみましょう。口コミ自体が少ない・古いだけでなく、返信の内容やトーンからも事業所の姿勢が見えてきます。
⑥ 障害福祉サービス等情報公表制度のデータで確認できる
国が整備した「障害福祉サービス等情報公表制度」を使うと、全国のA型事業所の基本情報・運営情報・経営情報をオンラインで確認できます。職員数・定員・開設年数・生産活動の状況など、見学前に客観的なデータを把握できる非常に便利なツールです。詳しい使い方は後述のセクションで説明します。
過去に9,312人が突然解雇された問題のように、経営実態が見えにくい事業所でトラブルは起きてきました。このデータベースを使うことで、事前にリスクをある程度把握できます。
⑦ スタッフの障害理解・支援姿勢が感じられない
最終的には「人」です。見学や問い合わせの際に、スタッフが障害について丁寧に話を聞いてくれるか、あなたのペースや状況を尊重しているかを感じ取ってください。
「いかに多くの利用者を入所させるか」を優先している事業所では、最初の対応から「営業的」な雰囲気が出ることがあります。逆に、「合わなければ無理に決めなくていいですよ」と言える事業所は、利用者を大切にしている証拠です。
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早見表:安心できる事業所 vs 要注意な事業所
| チェック項目 | 安心できる事業所 | 要注意な事業所 |
|---|---|---|
| 生産活動 | 具体的な仕事があり収益の説明ができる | 仕事内容が曖昧・給付金頼みと匂わせる |
| 見学・体験 | 積極的に受け入れ、丁寧に案内する | 断る・条件をつける・説明が雑 |
| 定着率 | 長期利用者が多く、離職率を開示できる | 離職率不明・短期利用者が多い |
| 個別支援計画 | 入所前から丁寧に説明・本人の希望を反映 | 形式的・入所後に「後で」と言う |
| 口コミ・評判 | 利用者の声がある・返信が丁寧 | 口コミがない・古い・返信がない |
| 情報公表データ | 公表情報が最新・経営情報を開示済み | データが古い・未更新が続いている |
| スタッフの姿勢 | 焦らせず、あなたのペースを尊重する | 早期入所を急かす・説明が一方的 |
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障害福祉サービス等情報公表制度を使った調べ方

WAM NETで事業所情報を検索する手順
厚生労働省が整備した障害福祉サービス等情報公表制度では、独立行政法人福祉医療機構が運営するWAM NET上の「障害福祉サービス等情報検索」から、全国の事業所情報をいつでも無料で確認できます。
検索の手順はシンプルです。
- WAM NETの障害福祉サービス等情報検索にアクセスする(wam.go.jp)
- 都道府県「北海道」・サービス種別「就労継続支援A型」を選択する
- 事業所名や所在地(例:札幌市東区)で絞り込む
- 気になる事業所をクリックして詳細情報を確認する
確認すべき「経営情報」の3つのポイント
情報公表制度では2025年8月から、事業所の経営情報(収益・費用・職員の給与状況など)も公表対象になりました。以下の3点を重点的に確認してください。
① 開設年数と定員充足率: 開設から年数が経っているのに定員を大幅に下回っている事業所は、利用者が定着していない可能性があります。
② 職員の状況: サービス管理責任者が常勤配置されているか、職員数が適切かどうかを確認します。人員基準をギリギリで満たしている事業所は、支援の質に影響が出やすいです。
③ 情報の更新頻度: 年1回の定期報告が義務付けられているため、情報が長期間更新されていない事業所は行政への報告に問題がある可能性があります。
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札幌で助成金目当てではない事業所を選ぶための視点

7つのポイントを踏まえた上で、「では何を軸に選べばいいか」を整理します。
大切なのは「助成金をもらっているかどうか」ではありません。助成金・給付金はすべてのA型事業所が受け取っており、それ自体は合法で、利用者の支援に使われるべきお金です。問題は「そのお金を利用者の支援に使っているか、それとも事業所の利益のために使っているか」です。
札幌でA型を探すとき、就労支援事業所を選ぶ前に確認すべきポイントと組み合わせて、以下の視点を持つと判断しやすくなります。
- 何の仕事をするのか、具体的にイメージできるか(仕事内容が明確な事業所は生産活動の実態がある)
- スタッフが「あなたの将来」を一緒に考えてくれるか(一般就労への移行支援に取り組んでいるか)
- 通いやすい立地・環境か(継続して通えることが安定した支援の前提)
札幌市内で就労継続支援A型を探す際は、札幌のA型事業所一覧と選び方も参考にしてみてください。複数の事業所を比較することで、自分に合った場所がより見えやすくなります。
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FAQ:A型事業所の助成金についてよくある3つの疑問
Q1. 助成金をもらっている事業所は全部怪しいの?
A. いいえ、そんなことはありません。
給付金・助成金はすべてのA型事業所が受け取っており、利用者の支援や事業所の運営費(人件費・家賃・光熱費など)に使われています。助成金の存在自体は問題ではなく、それをどう使うかが問われます。大多数の事業所は誠実に運営しており、助成金があるからこそ、最低賃金以上の給与を保証しながら障害のある方の就労を支えられています。
Q2. 「2年でクビ」は今でも起きるの?
A. 制度上はほぼ起きにくくなっています。
2017年の法改正以降、特開金の受給期間終了を理由とした解雇は実質的に困難になりました。離職率が25%を超えると助成金が不支給になる仕組みもあり、事業所側に利用者を定着させるインセンティブが生まれています。ただし、経営悪化による閉鎖・突然の事業所解散は今でも起きているため、事業所の財務状況を事前に確認することは引き続き重要です。
Q3. 見学のときに助成金のことを直接聞いていい?
A. 聞いて大丈夫です。
「事業所の収益はどのように成り立っているか」「生産活動の売上はどのくらいか」という質問は、利用者として当然知っておくべきことです。誠実な事業所はきちんと答えてくれます。むしろ、こういった質問をしたときに「答えたくない」「関係ない話」といった反応をする事業所は、それ自体がひとつのサインです。
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まとめ:「騙されない」より「信頼できる場所を選ぶ」視点で
A型事業所と助成金の関係は、制度を知れば「そういう仕組みなんだ」と冷静に受け止めることができます。過去に悪用があったのは事実ですが、現在は制度改正によってその余地はかなり狭まっています。
それでも不安が残るなら、7つのポイントを使って事前に確認してください。見学・体験・情報公表データの3つを組み合わせるだけで、安心感はぐっと変わります。
「助成金をもらっているから怪しい」ではなく、「その事業所が利用者のために誠実に動いているか」を見極めることが、後悔しない事業所選びの出発点です。
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