「通っている事業所が急に閉まるかもしれない」——そんな不安を感じている方は、決して少なくありません。
2024年度、全国で9,312人の障害者が解雇され、そのうち約8割がA型事業所の利用者でした(厚生労働省発表)。わずか5ヶ月(2024年3〜7月)で329ヶ所が閉鎖し、4,279人が職を失っています。前年度1年間の解雇者数2,407人と比べると、半分以下の期間で倍増した計算です。
この記事では、なぜA型事業所の閉鎖がこれほど加速しているのか背景を整理し、利用者の立場から「今のうちにできること」をお伝えします。
A型事業所の閉鎖が急増した最大の理由は令和6年度の報酬改定
閉鎖ラッシュのきっかけは、2024年4月に実施された障害福祉サービス等報酬改定です。
A型事業所の収入は「国からの基本報酬」と「利用者の生産活動で得た売上」の2本柱で成り立っています。今回の改定で、生産活動の収支が連続で赤字の事業所にはスコアが大幅に減点(-10〜-20点)される仕組みが新設されました。スコアが下がれば基本報酬も下がるため、もともと収益の厳しかった事業所は一気に経営が立ち行かなくなったのです。
改定前の時点で、生産活動の収益だけで賃金をまかなえていない事業所は全体の51%にのぼっていました(厚生労働省)。つまり半数以上が国の報酬に頼らなければ賃金を払えない状態だったところに、厳格なスコアリングが加わった形です。
A型事業所の閉鎖を加速させた報酬改定以外の要因

報酬改定だけが原因ではありません。複数の問題が同時に重なったことで、閉鎖の波はさらに広がりました。
最低賃金の上昇と物価高 A型事業所は利用者と雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の給与を支払う義務があります。北海道の最低賃金は2025年10月に1,075円。ここ数年で大きく上がり、人件費が膨らむ一方で売上が追いつかない事業所が増えています。
2026年10月の社会保険適用拡大 従業員51人以上の企業への社会保険適用拡大も、経営を圧迫する要因です。実際に、ある大規模A型事業所は「対応が困難」として2026年3月末での廃止を発表しています。
補助金目当ての参入と淘汰 2013年の障害者総合支援法施行以降、給付金目当てで十分な生産活動を行わない事業所も参入しました。2017年に国が「訓練給付費からの賃金支払い」を原則禁止とし、今回の改定でさらに締め付けが強まったことで、こうした事業所の淘汰が進んでいます。
閉鎖されたA型事業所の利用者はどうなったのか

厚労省の集計では、解雇された4,279人のうち8月末時点で再就職できたのは936人、B型事業所に移行(予定含む)したのは2,073人。合わせて約7割です。残り2割強は求職中でした。
閉鎖事業所の約4割強はB型に移行しましたが、B型は雇用契約がなく最低賃金の保障もないため、収入が大きく下がるケースがほとんどです。A型とB型の違いについてはこちらでも詳しく解説しています。
厚労省は2024年10月に自治体へ事務連絡を出し、閉鎖時の利用者支援体制を整備するよう要請していますが、現場の対応が追いついていない部分も残っています。
A型事業所の閉鎖に備えて利用者が今できること

不安を漠然と抱えたままにせず、今のうちからできることを整理してみましょう。
事業所の経営状態を確認する 生産活動で黒字を出せているかどうかは大きな判断材料です。毎年度公表される「スコア表」や「事業報告書」をチェックしてみてください。わからなければ、支援員やサービス管理責任者に聞いてみるのも一つの方法です。
相談支援専門員やハローワークとつながっておく 万が一のときに慌てないよう、担当の相談支援専門員とは日頃からコミュニケーションをとっておくことが大切です。ハローワークの障害者専門窓口でも、転所や雇用保険について相談できます。
自分のスキルを広げておく どんな事業所に移っても活かせるスキルがあると、気持ちの余裕につながります。たとえばネットショップ運営は、商品撮影・出品・在庫管理と一連の実務を経験でき、他の職場でも応用しやすいスキルが身につきます。
経営が安定している事業所を把握しておく すぐに転所しなくても「もしものときの候補」を知っておくだけで安心感は変わります。複数の収益源を持つ事業所は経営が安定しやすい傾向があります。札幌のA型事業所比較記事も参考にしてみてください。
閉鎖が増える今だからこそA型事業所選びは慎重に

今回の大量閉鎖は、制度の変化と事業所の経営体質が重なった結果です。裏を返せば、生産活動で安定した収益を上げている事業所は今後も残り続けます。
「A型事業所そのものが危ない」と過度に不安になる必要はありません。生産性のある仕事に取り組み、利用者のスキルアップを本気で支援している事業所は、むしろ閉鎖の波を乗り越えて利用希望者が増えているケースもあります。
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